浅井純彦


浅井純彦(あさい・すみひこ)

 『目をさませトラゴロウ』舞台より

 

東京演劇アンサンブル俳優教室13期を経て、1980年東京演劇アンサンブル入団。

東京演劇アンサンブルの中堅をになう個性豊かな俳優。ブレヒト作品でデビューして以来、代表作にはブレヒト劇が多い。

『セチュアンの善人』(1999年より上演)では水売りのワンとして、新人・久我あゆみをリードし、もう一人の主役として舞台を引っ張った。彼の頑固さ、率直さがよく舞台に出ていた。『ガリレイの生涯』では小柄な修道僧を演じ、宗教と科学と民衆という現実に即した嘆きをガリレイにぶっつけた。ベルリン公演ではガリレイ(公家義徳)とともに緊張感のある対話のシーンが印象的であった。

その一方で、こどもの劇場ではこどもたちの人気者『目をさませトラゴロウ』の主演・トラゴロウを演じている。かしらを操りながら、かわいらしく、なまけものの、愛すべきトラゴロウをつくりあげた。『風の又三郎』では嘉助役で登場。こどもが未知のものに憧れ、又三郎をつくりだしていく様を素朴に演じた。『赦せない行為』では、初の二枚目役。「浅井らしさ」から脱却した、ナイーヴな青年を繊細に演じた。

浅井さんのことを思い浮かべる時、「痒い所に手が届く」仕事をする人だと思う。(それは遊びに対してもだ。)浅井さんがガチ袋を腰につけ、腕を組んで何かを考えている姿が浮かんでくる。そこから素敵な物が考え出されてくるのだ。お助け棒(体育館の仕込みでは大活躍!)、スライドのフェードイン・アウトマシン(スライドを操作する人の感覚でフェードイン・アウトできるものを安い材料で作った)etc…。劇団の職人さんという感じがする。しかし浅井さんは忘れ物が多い。浅井さんが帰ったあと、男性楽屋に吊るされたままの携帯電話やリュックサック、トースターの中で出来上がったまま放置されたパンなど、度々目にすることがある。何か次のことを頭の中で考えるとそれに夢中になって、その前にしていたことは忘れてしまうのか、もしくは年齢的なことなのかはわからないが。トラゴロウや嘉助(『風の又三郎』の五年生)をやっている浅井さんは素敵だぜ。(『夜の空を翔ける』公演パンフレット by Tamiki Otawa)

 

主な舞台作品

都会のジャングル ブレヒト パット・マンキー
コミューンの日々 ブレヒト ココ
コーカサスの白墨の輪 ブレヒト ユスプ
ガリレイの生涯 ブレヒト 小柄な修道僧
テンペスト シェイクスピア トリンキュロー
セチュアンの善人 ブレヒト 水売りのワン
目をさませトラゴロウ 小沢正 トラゴロウ
銀河鉄道の夜 宮沢賢治 灯台守
風の又三郎 宮沢賢治 嘉助
幻燈辻馬車 山田風太郎 蔵太郎
赦せない行為 森本薫
ゲド戦記 ル・グウィン カラスノエンドウ
蜃気楼の見える町 広渡常敏 裏辻圭佑
海鳴りの底から 堀田善衛 山善右衛門/裏辻圭佑
消えた海賊 広渡常敏 フルガンツィオ
ヒロシマの夜打つ太鼓 広渡常敏 良平
ワーニャ伯父さん チェーホフ 下男
海の五十二万石 広渡常敏 めがね橋の吾作
母―おふくろ ブレヒト アントン
夜の空を翔る 広渡常敏 篠田耕助 
山脈 久保栄  松原太一 
避暑に訪れた人々 ゴーリキー キリール・ドゥダコーフ
シャイロック ウェスカー  テューバル 
大麦入りのチキンスープ ウェスカー  ハイミイ・コソップ
第三帝国の恐怖と貧困 ブレヒト  運転手・夫
どん底 ゴーリキー  ルカ