三浦潤子(みうら じゅんこ)

 『肝っ玉おっ母とその子供たち』舞台より

 東京演劇アンサンブル俳優教室7期を経て、1974年入団。

 『走れメロス』初演の舞踊は、加賀美洋子らとともに激しくエロティックな情熱の踊りでメロスの倒錯を表現し、観客の度肝を抜いた。『桜の森の満開の下』の生首ではニューヨーク、ソウル公演を体験。成熟した女の情念が燃え上がった。
 『都会のジャングル』、『わが魂は輝く水なり』は、彼女の野性的な魅力と重なるはまり役となった。一方で『思い出のブライトン・ビーチ』のブランチ役は、ニューヨークのダウンタウンの底辺に生きる家族、その要となる母親ブランチを演じた。貧しい家族を支えながらもプライドを失わずに生きる女性が好感をよんだ。
 『コーカサスの白墨の輪』の領主夫人、『セチュアンの善人』のヤン夫人など、主役に対抗する個性の強い役どころを演じている。『肝っ玉おっ母とその子供たち』では絹代という娼婦役。おっ母の肝っ玉に惚れ込みながら、おっ母とは違う生き方で渡世していく女、池辺晋一郎による妖艶なソングも歌い、舞台を華やかに彩った。 俳優養成学校の講師も務め、精力的に活動している。

 台本のト書きには、おもむろにこう書いてある。
 彼女は歌いながら話す。
 そう書いてあるけれど、いきなりそうはできないものである。しかし彼女は、いきなりそうしてしまうのだ。なんか、すげー!読み稽古を聞いて、そう思ったのだ。
確かにそう台本には書いてある。でも、何の手がかりもなしに、そうできてしまうのって、なんか、やっぱり凄い。舞台にいて、稽古場にいて、圧倒的な存在感を放つ女優、三浦潤子。
 ベテラン女優であるが、なんというか、そういう感じではなく、別の意味で、存在しているのだ。
 2011年、年始の劇団総会は、とにかく討論形式で、今の劇団のことを話し合った。いろんなテーマに沿って話は進んだけど、チケットをどう売るのか? みたいなテーマの時、彼女の熱に、とても励まされた。若い俳優は自分が芝居をしていることを、人に伝えるのも、簡単にはいかないようで、そんな話をしていると、「自信持って言えないなんて話ならない!」そんな彼女は、昨年銀座のライブハウスで、ソロコンサートを自力で成功させていた。地に足をつけて、地道に演劇と向き合って、その支持者を獲得してきているのだ。ついでに言うと、彼女自身が主催するワークショップの生徒さんたちも、足しげく芝居小屋に足を運んでくれる。これもまた、彼女の人望に間違いない。自分が出演していようが、いまいが、東京演劇アンサンブルの舞台に対する信頼が、そこから感じることができる。
 兼ねてから、キャリアを越えて仲の良い演出の三由に押されての出演。歌いながら話す彼女に注目です。

(『道路 La Route』公演ブログより)

【主な舞台作品】

都会のジャングル

ブレヒト

ジェーン・ラリー

ガリレイの生涯

ブレヒト

サルティ夫人

セチュアンの善人

ブレヒト

ヤン夫人

コーカサスの白墨の輪

ブレヒト

領主夫人

肝っ玉おっ母とその子供たち

ブレヒト

絹代

走れメロス

太宰治

コロス

桜の森の満開の下

坂口安吾

生首

わが魂は輝く水なり

清水邦夫

吹雪

沼地−FEN

キャリル・チャーチル

アンジェラ

ティレシアスの乳房

アポリネール

キオスク

思い出のブライトン・ビーチ

ニール・サイモン

ブランチ