竹口範顕(たけぐち のりあき)

   『蜃気楼の見える町』舞台より

NHKアクターズゼミナールを経て、1992年東京演劇アンサンブル入団。

 『幻燈辻馬車』の赤井影韶で、初の大役を射止めた。自由党の志士として、大志のためには犠牲を払っても突っ走るという熱い男を、誠実に演じた。
 以後、『國語元年』の書生・修二郎、『おんにょろ盛衰記』の村人役、軽妙でまじめな役が好評である。『ガリレイの生涯』ではガリレイに目を光らせるベラルミン枢機卿で、慇懃ななかに権力をちらつかせる芝居が印象に残った。 歌が得意で、『ちゅうたのくうそう』ではちゅうたのライバルのネコ役。ちゅうたの空想に翻弄されるネコさんは、こどもたちの人気者。歌のうまさと彼の持ち味である軽さがもっともよく出た舞台である。 『セチュアンの善人』では第二の神様を演じた。規則に従う善人を探し、現実を目の当たりにしながらも誤魔化して逃げていく神様、その情けなさが良く出ていた。
 『蜃気楼の見える町』では学生の有馬役。理屈が先に立つ学生役は、竹口にははまり役である。

 1996年に上演した『遠く天安門へ』という芝居で竹ちゃんは見事な中国語を披露した。たった一行位の短い言葉だったが、角度のついた舞台の淵に真っ直ぐに立ち、青白い光の中で発音されたその言葉は、空間一杯に切なく響き私の心を打って今でも印象に残っている。あれから12年たつ。竹ちゃんは立ち止まったり戻ったり置き石になったりしながら少しずつ進んで懸命に生きている。去年一緒に朗読をやった。最初しばらく硬く読んでいた竹ちゃんが、「恋人に読んで聞かせるようにやったら。」と羽鳥さんに言われてから、すごくやわらかくなって物語の鼠や鳩に対する愛情や気持ちが伝わってくるようになった。『夜の空を翔ける』は私達にとってなかなか言えないような台詞が沢山ある。この頃台本を読みながら『ちゅうたのくうそう』の中の歌を思い出す。私達歌ってきたねぇ。たけちゃんが掴んだものは「ユーモア」だったんじゃないかな。「汝の立つところを深く掘れ、そこに泉あり」 (『夜の空を翔ける』公演パンフレットより by Hiroko Nasu)


【主な舞台作品】

幻燈辻馬車

山田風太郎

赤井影韶

セチュアンの善人

ブレヒト

第二の神

ガリレイの生涯

ブレヒト

ベラルミン枢機卿

コーカサスの白墨の輪

ブレヒト

グルシェの兄

國語元年

井上ひさし

広沢修二郎

おんにょろ盛衰記

木下順二

村人

ちゅうたのくうそう

小沢正

ネコ

おじいちゃんの口笛

スタルク

グスタフソン

恋愛恐怖病

岸田国士

ゲド戦記

ル・グウィン

旅の商人

蜃気楼の見える町

広渡常敏

有馬

海鳴りの底から

堀田善衛

山田右衛門作

走れメロス

太宰治

王ディオニス/役人

食卓のない家

円地文子

田口

名探偵カッレとスパイ団

リンドグレーン

ニッケ

常陸坊海尊

秋元松代

秀光

銀河鉄道の夜

宮沢賢治

車掌/博士

グスコーブドリの伝記

宮沢賢治

レグホーン

日本気象

久保栄

津久井技師

目をさませトラゴロウ

小沢正

とらのすけ