樋口 祐歌 (ひぐち ゆか)

 『走れメロス』舞台より

 桐朋短大芸術科第30期を経て、1997年東京演劇アンサンブル入団。

 桐朋入学前は宝塚を志したという、歌・踊りを得意とする女優。
 桐朋の卒業公演では『セチュアンの善人』のシェン・テ/シュイ・タ役で、同期の久我あゆみと競演。演出の広渡常敏との出逢いが、入団のきっかけとなった。
 『銀河鉄道の夜』さそり役でアンサンブルデビュー。、それまでのプロ・ダンサー加々美洋子(加十詩絵)から引き継いで踊った。その後、『セチュアンの善人』八人家族の子ども役や、『桜の森の満開の下』でも生首として海外公演など、大舞台を経験。
 『走れメロス』のサラグ(メロスの妹/第2の人物)では、踊りとしても役としても、これまでで一番大きな役となる。メロスでは俳優はみな体力の限界まで走る。一見優等生タイプの彼女の芝居がどんどんこわされて、チャーミングでコケティッシュな彼女本来の魅力が気どらずに溢れる。

 相手の懐に入って、ガツっと鷲づかみにしてしまう。そんな魅力を持っている。入団1年目から抜擢された『銀河鉄道の夜』のサソリ役。静かに燃えあがっている姿が、印象深く心に残っている。『走れメロス』のサラグでは、彼女の清楚で可憐なイメージそのままでありながら、コロスとして走り出すときの必死の形相に圧倒されてしまう。そして、学校公演の先乗りでは、たくさんの学校の先生と出会い、出会った学校の先生たちがブレヒトの芝居小屋まで足繁く通ってくれるようになっている。彼女と出会うと、そう、心奪われてしまうのかもしれない。それも、とても爽やかに、心地よく。思うに、彼女の飛び込む勇気に、惹かれるのではないだろうか? ゆかは、思い切って飛び込むときは、かなり無防備だ。よく傷ついてもいる。でも、その彼女に嘘はない。いま、自分にあるものでぶつかり、足りないことに気づき、学び、何度でもぶつかっていく。こんなに本気で人と向き合う人に出会ったら、ぼくだって心動かされてしまいます。(『夜の空を翔ける』公演パンフレット by Akira Ota)

 

【主な舞台作品】

 海抜3200メートル

リュシエール

 マルト

 セチュアンの善人

 ブレヒト

 8人家族

 ガリレイの生涯

 ブレヒト

 コーラス

 銀河鉄道の夜

 宮沢賢治

 さそり

 走れメロス

 太宰治

 サラグ

桜の森の満開の下

坂口安吾

生首

ゲド戦記

ル・グウィン

蜃気楼の見える街

広渡常敏

由美

海鳴りの底から

堀田善衛

由美/喜代

常陸坊海尊

秋元松代

安田啓太(少年時代)

ちゅうたのくうそう

小沢正

コロス

日本の気象

久保栄

女子職員

林檎園日記

久保栄

トメ

紙風船

岸田國士