日本劇団協議会主催 次世代を担う演劇人育成公演
東京演劇アンサンブル制作


道路 La Route

 

アゴタ・クリストフ=作 堀茂樹=訳 三由寛子=演出

◆公演日時

 2011年2月11日(金)〜20日(日)

 

2/11
金・休

2/12

2/13

2/14

2/15

2/16

2/17

2/18

2/19

2/20

14:00

休演

19:00

20:00

◆会場
ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線・武蔵関駅下車徒歩7分)

◆料金  全席自由
当日=3,500円 前売一般=3,000円 前売学生=2,000円

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主催 (社)日本劇団協議会

制作 東京演劇アンサンブル

助成 平成22年度文化庁芸術団体人材育成支援事業

協賛 ケンタウルスの会

■スタッフ

作=アゴタ・クリストフ

訳=堀茂樹

演出=三由寛子

音楽=かのんぷ♪(ナカツボ・アーツ)

照明=宮田正芳

効果=勝見淳一

衣裳=竹田陽子

振付=鷲田実土里

宣伝美術=奥秋圭

装置・舞台監督=三木元太

制作=東京演劇アンサンブル

■キャスト

 語り手・・・・・・・・・・・・熊谷宏平

 三つ揃いの男・・・・・・松下重人

 女歌手・・・・・・・・・・・・三浦潤子

 庭師・・・・・・・・・・・・・佐々木章夫

 踊る女・・・・・・・・・・・・洪美玉

 暗い女・・・・・・・・・・・・名瀬遙子

 明るい女・・・・・・・・・・冨山小枝

 老婦人・・・・・・・・・・・・竹口範顕

 母親・・・・・・・・・・・・・・三浦潤子

 赤ん坊・・・・・・・・・・・・本多弘典

 学者・・・・・・・・・・・・・・田辺三岐夫

 絵描き・・・・・・・・・・・・洪美玉

 逆行男・・・・・・・・・・・・竹口範顕

 男の子・・・・・・・・・・・・本多弘典

女の子・・・・・・・・・・・冨山小枝

狂人・・・・・・・・・・・・・熊谷宏平


アゴタ・クリストフ(Agota Kristof, 1935年10月30日 - )

ハンガリー出身のフランス語作家。

1935年ハンガリー生まれ。
近隣の村の高校を卒業後、詩を書きはじめる。
歴史教師と結婚するが、
1956年ハンガリー動乱、21歳のとき、
反共産主義の暴動の後に夫がジャーナリストとして活動のかどで投獄されるのではないかと心配し、
哺乳瓶、数枚の衣服、2冊の辞書だけを持って4人の子供とともにハンガリーを逃れた。
森を通ってオーストリアに着き、ウィーンの近くの難民キャンプに到着した。
夫が大学で奨学金をもらえることになってスイスのフランス語圏ヌーシャテルに移住。
夫は生物学を勉強し、アゴタはフランス語を学びながら、生計を立てるために時計工場で働いた。

1986年『悪童日記』で文壇デビューを果たす。
後天的に取得したフランス語を用いて書くため、やや文章にある種のぎこちなさがあるが、
それがむしろ物事を端的に表現し、独特のインパクトをもった文体となっている。

『悪童日記』は、双子の少年達が戦時下の田舎町で成長し自立していくさまを描いており、
一人称複数形式(「ぼくら」)を用いて成功した稀有な小説として知られている。
以後、『ふたりの証拠』『第三の嘘』をあわせて完成させた三部作が彼女の代表作。
彼女の小説には亡命の厳しい体験が反映されている。

2008年、オーストリア・ヨーロッパ文学賞受賞。

東京演劇アンサンブルの上演では、アゴタ・クリストフ作品は、
1995年に上演された一人芝居『エレベーターの鍵』(訳=堀茂樹 演出=広渡常敏 出演=原口久美子)以来となる。

小説

戯曲集




【上演にあたって】

2002年度から文化庁の委託により3年間実施した「新進芸術家公演事業」を発展させた事業。次世代を担う若手でありながら発表の機会に恵まれない演劇人に発表の機会を与えることにより、演劇界全体の活性化を図ろうという事業。2005年度から社団法人日本劇団協議会主催事業として、文化庁芸術創造プラン(新世紀アーツプラン)の「芸術団体人材育成支援事業」として実施されている。

2010年度は15団体・作品が選出されている。

今回の東京演劇アンサンブル制作による上演は、新進芸術家として東京演劇アンサンブルの俳優・三由寛子が、本公演で初めて演出する(これまで勉強会での経験のみ)という事で採択されました。三由寛子はこれまで、俳優として多くの作品に出演しながら、劇団の若い俳優達とともに、目取真俊(沖縄の小説家、60年生まれ)の作品を読む会を開くなど、沖縄の問題、そこから派生する現代社会の問題を勉強し続けてきた。

読み物としても、非常に秀逸であるアゴタ・クリストフの短編戯曲の中でも、特に抽象性が高い『道路』という作品は、演出家の手腕が多いに試される作品である。俳優だけでなく、音楽、舞踊、衣裳、装置など、まさに総合舞台芸術の演出が求められている。

これまで東京演劇アンサンブルの若い劇団員を牽引してきた三由寛子を中心に、今までにない劇団の若い力を結集して創り上げる公演となるだろう。スタッフもこれまでとは違う新しい出会いを求めている。照明には宮田正芳、効果には勝見淳一と、音楽にはウクレレ&ピアノデュオのかのんぷ♪ と、初めて本公演でプランをお願いすることになる。衣裳、舞台装置も現在新たな出会いを求めている。日本劇団協議会主催「次世代を担う演劇人育成公演」でこそ実現できる、新たなアーティストとの出会い、実験的な挑戦の舞台となるだろう。

シンプルな文章表現でありながら深い奥行きを見せるアゴタ・クリストフの作品を、今作品が本格デビューとなる三由寛子が、どんな演出を見せるかに注目が集まっている




【あらすじ】
ある「未来」の一時代。
地球はすっかりコンクリートに覆われている。
そこにあるのは道路ばかり。ほかには何もない。
人びとは道路で生まれ、道路で生きる。
彼らは徒歩で、車のために建設された道路を通行する。
自動車は遥か昔に機能しなくなり、残骸と化し、打ち捨てられ、「休憩所」と呼ばれている。
人類は原初的な状態に戻ってしまい、われわれの文明のことは、「伝説」を通じてしか知られていない……。
その不思議な世界へ、高速道路設計者である「三つ揃いの男」が迷い込んでくる。
彼は道路で、様々な人物と出会う。
昨夜、市長のレセプションで出会ったはずの女歌手と庭師。
なぜ高速道路を歩いているのか、
出口はどこなのかと三つ揃いがたずねるが、ちんぷんかんぷんの答えしか返ってこない。
さらに、太陽、星々がかつて頭上にあったのだという伝説を信じる「暗い女」。
それを否定する「明るい女」。
赤ん坊のふりをした少年。
本を読めば宇宙の秘密がわかるといいながら『創世記』を朗読し始める「学者」。
突然道路を逆送してくる「逆行男」。
怖い、怖いと逃げ惑う人々の中に暴力的に出現する「野獣たち」……。
人々は強制的に歩かされているのだろうか。
それならば、何者に強制されているのだろうか。
それに対する答えは示されず、登場人物たちは、前へ前へと歩き続ける。
 
「原初的な状態」とは何か。
人々は歩きながら食べ物を探している。
食べ物とは、どうやら死んだ人間らしい。
出口がどこにあるのか、誰も知らない。
しかし、実は誰もが出口を探している。出口がどこなのか教えあうものはいない。
徹底的なコミュニケーションの喪失。言葉の喪失。
そんな悪夢の世界を歩き続けた三つ揃いの男は、
高速道路は人間のためにつくられたものではない、と気付き、神に祈る。
「このコンクリートの迷路から出してくれるのなら、
ぼくはもう道路なんかいっさい建設しないことをお約束します!」と。すると、奇蹟が起きる……。
 
コンクリートを突き破って生えてきた一本の木。
それを見守る「狂人」は、出口はここなんだ、コンクリートを壊すのを手伝ってくれ、と叫ぶ。
「道路では、どんなことも起こらないとはいえないがね、
たいていのことは起こらないし、確実なことなんて一つもないよ。」
アゴタ・クリストフの絶望の言葉なのか、希望の言葉なのか。