1. 劇団紹介


チェーホフ「かもめ」の上演

 

21世紀の初頭にあたって、東京演劇アンサンブルは人間の精神に問いかける演劇運動を展開しつづける。演劇が物語を語る道具ではなく、目的のための思想の伝達手段でもないことは、20世紀の演劇をつうじて確かめられたことであると、我々は考えている。

演劇は、作品をつくる過程のなかにこそ生まれる。作品行為こそ、人間の精神に揺さぶりをかけ、時代状況に切り込める。それは俳優が劇場の舞台に立ったとき観客とともに生み出すものである。そのような「瞬間」に生きる「俳優」に賭ける舞台は、まさに20世紀の日本の新劇運動の歩みを最も創造的に継続するものだ。

日本の演劇が、伝統演劇から現代演劇まで、ますます多様化しているなか、広渡常敏と東京演劇アンサンブルの仕事の個性は、際だった道を辿っている。商業主義の蔓延した日本の演劇界の流れのなかで、ひたすら自身の求めた演劇の理想を追求することが、多くの観客に支持され、劇団内部の活力の源泉ともなっていくことを創立以来実践し続けている。

21世紀、東京演劇アンサンブルが中心に据える仕事は、既に前世紀のものとして捨てられようとしている“革命”の精神をとらえ直すことである。変革への憧れと自身への戦いなしに人間はない。演劇の言葉が革命を語るのではなく、「言葉を語ることとその言葉を受け取る瞬間が革命そのものであるような演劇」が、本当に自由な人間の精神をつくりだし、人間が生きる状況をつくりだす。世界を動かすエネルギーとなるような演劇を、広渡常敏と東京演劇アンサンブルは求め続ける。